はじめに
こんにちは、mcsのT.Mです。
Salesforceを導入し、運用を進めている企業さんの中には、
設定変更や機能拡張等のシステム管理業務を社内の「Salesforceに少し詳しい人」に任せている
といったケースも多いのではないでしょうか?
私自身、Salesforceの管理・運用を社内でメイン担当として行っていた経験があります。
権限設定やレイアウトの調整、項目追加、フローの作成など「とりあえず自分でやってみる」というスタンスで調べながら業務を進めていました。
しかし、この方法では運用が属人的になって管理が複雑化してしまったり、
Salesforceの機能を活かしきれないまま使い続けてしまうことも少なくありません。
- 「今のSalesforceの運用、正しくできているのか不安…」
- 「管理者が辞めたら運用がストップしてしまうかも」
- 「カスタマイズが増えすぎて、どこをどう直せばいいのか分からない」
こうした不安を解消するために有効な選択肢の一つが、Salesforceの管理業務を外注することです。
今回は、Salesforceの運用を外注するメリット・デメリット、考慮すべきポイントについて、運用担当者としての実体験も交えながら詳しく解説します。
今回の記事はこんな方におすすめです。
- Salesforceの管理・運用業務を担当しているが、設定や問い合わせ対応に時間をとられている
- エラーや不具合が心配で、システムの改修や処理追加に踏み出せない
- Salesforceの管理業務をできる人が社内に1~2名しかおらず、属人化が不安
Salesforce管理業務を「社内の詳しい人」に頼るリスク
Salesforceは非常に柔軟なシステムで、専門的な知識・スキルがなくてもある程度カスタマイズができることが魅力の一つです。
しかし、適切に運用しなければ、次第にシステムが複雑化してしまうという側面もあります。
社内で比較的Salesforceの知識を持っている担当者に管理・運用を頼り切ってしまうと、次のようなリスクが発生します。
設定作業に時間がかかり、コア業務が遅れる
私がSalesforceの設定を担当していた際、権限設定・レイアウト調整・項目追加・フロー作成などを自分で試行錯誤しながら進めていました。
しかし、気づけば本来やるべきコア業務の進行が遅れてしまうという事態に陥りました。
本来やるべき業務
- システム改善のための課題整理と機能改修の企画
- 要件整理と改修仕様の検討~決定
- システムの定着化・運用ルールの策定
- 社内ユーザーへのトレーニング
実際にやっていた業務
- 項目や権限、レイアウトの微調整
- フローや承認プロセスの設定
- エラーの調査と修正、データリカバリ対応
設定作業は重要ですが、それに時間を取られすぎると、本来やるべき業務が後回しになり、業務効率が下がる可能性があります。
結果としてシステム全体の活用度や業務効率が向上しない、という状況になっては本末転倒です。
設定・ナレッジの属人化
Salesforceの管理を社内で行うと、ナレッジが個人に集中してしまうという問題があります。
私自身、設定やカスタマイズを「とりあえず自分でやる」スタンスで進めていたため、気づけば自分以外のメンバーが設定を把握していない状態になってしまいました。
- 新しいメンバーが加わっても、設定の意図を理解できない
- 「この処理、消しても大丈夫?」と誰も判断できない
- マニュアル作成が後回しになり、結局自分に質問が集中する
このような状況では、担当者の負担が増えるだけでなく、管理者がいなくなった途端に運用がストップするリスクも高まります。
設定ミスによる想定外のエラー
Salesforceでは、ワークフロー・入力規則・フロー・プロセスビルダーなど、多くの自動化機能や制御機能を活用できます。
しかし、これらを適切に管理しないと想定外のエラーを引き起こします。
私も、「この入力規則のせいで、こんなエラーが発生するとは…」と、想定していなかったエラーに何度も直面しました。
例えば…
- 承認プロセスを設定したが、一部のケースで承認が通らなくなった
- 入力規則を追加したら、他の自動化処理によるレコード編集がエラーになった
- フローを修正したら、別の処理と干渉してエラーが発生した
こうしたミスを防ぐためには、システム全体の設計を理解し、慎重に変更を加える必要があります。
しかし、多くの場合、日々の業務と並行しながらそこまで気を配るのは難しいのが実情です。
Salesforce管理業務を外注するメリット
こうした課題を解決する方法の一つが、Salesforceの管理業務を外注することです。
外注を活用することで、次のようなメリットを得ることができます。
専門家の知見を活用できる
Salesforceの専門家に依頼することで、システムの最適化や運用改善の提案を受けられます。
- 他社の成功事例を基にした最適な運用アドバイス
- 最新の機能や設定方法の適用
- システムの整理と最適化
社内だけでは得られない知見を活用することで、より効果的なSalesforce運用が可能になります。
運用や活用促進における課題の相談をしたり、改善のためのアドバイスや提案を受けたりすることもでき、Salesforceの活用範囲を広げられる可能性があります。
また、プロに依頼し仕様をドキュメントに残したうえで開発・管理を行ってもらうことで、
- システム全体として整合性が取れているのかわからない
- どの処理がどんな役割で存在しているのか、把握できない
といった状況が起こりにくくなります。。
機能の改修や新規機能の追加を行う際も、既存処理への影響を確認したうえで進めることができ、エラーやトラブルの発生リスクを抑えることができます。
設定・運用が属人化しない
外注することで、ナレッジが個人に集中するリスクを軽減できます。
- 設定やカスタマイズの履歴がドキュメント化される
- 引き継ぎが容易になる
- システム全体の管理が統一される
外部のパートナーによる管理体制が構築されるため、システムの設定やノウハウが特定の担当者に依存しなくなり、組織全体で管理しやすくなるというメリットがあります。
本来の業務に集中できる
設定作業を外部に任せることで、社内のリソースを本来の業務に集中させることができます。
社内にSalesforceに詳しい人材がいるのは企業にとって大きなメリットですが、その人が設定や管理に追われるのではなく、システム活用の促進や業務の効率化に注力できる環境を整えることが重要です。
- 「Salesforceをより活用するために、どのような改善や活用推進をするか?」の検討に注力できる
- 運用や改善の企画に時間を使い、より成果につながる運用が可能になる
作業部分を外注することで、担当者の負担を軽減し、戦略的な業務にリソースを集中させる環境を作ることができます。
外注のデメリットと考慮すべき点
外注にはメリットが多いですが、デメリットも考慮する必要があります。
コストがかかる
外注には当然ながら費用が発生します。
特にカスタマイズや開発を依頼する場合は、一定のコストがかかることを考慮する必要があります。
ただし、管理の手間やミスによるトラブルを考慮すると、投資価値は十分にあります。
また社内で運用する場合でも、担当者の工数や教育コストが発生するため、
長期的な運用の視点で考えると、外注のコストメリットは大きい場合も多いです。
コミュニケーションに時間がかかる
外部に設定や管理業務を依頼する場合、要件を正確に伝え、適切に進めてもらうためのコミュニケーションが必要です。
- 社内の業務フローを十分に理解していない外部パートナーに要件を伝える手間が発生する
- 「何を、どのように運用しているか」を共有しないと、適切な設定や開発ができない
- 細かい変更依頼のたびに、都度やり取りが発生する
特に、Salesforceの業務フローが社内で確立されていない場合、
外注業者との認識のズレが発生しやすくなるため、要件の整理やドキュメント化が求められます。
即時対応が難しい場合がある
社内で管理している場合に比べ、外部に依頼すると緊急時の対応スピードが落ちるケースがあります。
- 設定変更やトラブル発生時に、すぐに対応できないことがある
- 業者によっては、修正対応に時間がかかる場合もある
- 契約範囲によっては、追加費用が発生することもある
そのため、日常の細かい変更は社内で、専門的な管理や開発は外注するというバランスを取ることが重要です。
例)
・日々のレポート作成やレイアウト調整などは社内で対応
・システム全体の最適化やドキュメント管理、新規開発や複雑な設定変更は外注
このように役割分担を明確にすることで、外注のメリットを活かしつつ、社内の対応スピードも確保できます。
まとめ
Salesforceの運用を「社内のちょっと詳しい人」に任せると、属人化・設定ミス・コア業務の遅延といった問題が発生しやすくなります。
前述のように外注を活用することで、以下のようなメリットがあります。
- プロの知見を活かし、最適な運用を実現する
- 属人化を防ぎ、システムの透明性を確保する
- 社内リソースを本来の業務に集中させる
ただし、外注にはコストやコミュニケーションの課題もあるため、
どの業務を外注し、どこまで社内で対応するか、バランスを考えて進めることが大切です。
Salesforce管理業務の外注検討のポイント
外注を検討する際には、以下のようなポイントを基準に判断するとよいでしょう。
- 社内のSalesforce担当者が本来の業務に時間を割けているか?
- システムの管理が属人化していないか?
- トラブル発生時に、適切に対応できる体制があるか?
- コストとメリットのバランスが取れているか?
特に、管理業務に時間が取られすぎている場合や、設定ミスや属人化によるリスクを感じている場合は
専門家のサポートを受けることでより効果的な運用が可能になります。
最後に
社内で気軽に、コストをかけずに運用・開発ができるのはメリットですが、
担当者の負担を減らし、より本質的な業務にリソースを集中できるような体制を作ることも大切です。
- 外部に依頼できる業務は外注を活用し、
- 社内では運用方針の決定や活用促進に注力する
といったメリハリをつけた運用を行うことが、Salesforceを最大限に生かし組織を改善していくための近道になることも多くあります。
Salesforceの運用・活用でお悩みの方は、ぜひ外注の活用を検討してみてください。
Salesforceを導入したものの、機能が多すぎて使いこなせない、設定やカスタマイズが難しい、または社内リソースが不足していると感じていませんか?
合同会社mcsは、そんなお悩みを解決するために、Salesforceの導入・運用支援を行っています。経験豊富なチームが、貴社のビジネス成長をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。